「ねえ先生、PFAS(ピーファス)ってなに?」
そう子どもに聞かれたら、みなさんはなんて答えますか?
「水道水には気をつけたほうがいいってニュースでやってたよ」
お母さんとテレビを見ていて、なんだかモヤモヤした気持ちになったそうです。
小学生のみなさんにもわかるように、PFASについてやさしく解説していきます。
身の回りにあるものや水道水の話も交えて、一緒に学んでいきましょう。
PFAS(ピーファス)とは何か簡単に教えて
PFAS(ピーファス)とは、「汚れや水をはじく力」を持った化学物質の仲間です。
とても小さな成分ですが、私たちの回りにあるものに、けっこう使われているんですよ。
例えば、靴や服、フライパンや食べ物の包み紙など、みなさんが毎日ふれるものにも入っていることがあります。
なぜこんなにいろいろなものに使われているかというと、便利で長持ちするからです。
でも最近、このPFASについて、「体にたまるとよくないかもしれない」という声が出てきています。
便利なものでも、使い方を考えなければいけない時代になってきているんですね。
ここからは、どこに使われていて、どんな問題があるのかをくわしく見ていきましょう。
PFASは「汚れや水をはじく」すごい薬の仲間
PFASの一番の特ちょうは、「水や油をはじく力」がとても強いことです。
そのおかげで、汚れやぬれることを防ぎたいものに、たくさん使われています。
例えば、雨の日でも水をはじくジャンパー、食べこぼしをはじくランチマット、すべらないように加工された紙コップなど。
汚れがつきにくいソファや、防水スプレーなどにも使われています。
このような力を持っている物質は「フッ素化合物(ふっそかごうぶつ)」と呼ばれます。
フッ素という成分は、ほかのものとくっつきやすく、強い力を生み出すのが特ちょうです。
そしてPFASは、そのフッ素をふくんだ化合物の一つです。
つまり、小さな成分ですが、とてもパワフルな「薬の仲間」なんですね。
靴・服・フライパンなど、いろんなものに使われているよ
PFASは、身の回りにあるいろいろな製品に使われています。
すべりにくくて焦げつきにくいフライパンや、汚れにくい白いスニーカー、防水加工された服やカバンなどがあります。
また、ハンバーガーをつつむ紙や、ポップコーンの袋、ファストフードのドリンクカップなど、食品に関係するものにも使われることがあるんですよ。
これは「食べものに油や水がしみこまないようにするため」です。
見た目だけではわからないことが多いので、「こんなものにも?」とびっくりする人もいます。
なぜこんなに使われているのかというと、水や油をはじくだけでなく、熱にも強くて、こわれにくい性質を持っているからです。
あまりにも便利すぎるために、気がつかないうちに、私たちの生活の中に入りこんでいるのです。
関連ページ:PFOS・PFOAとは?PFASとの違いやフリーフライパンの見分け方
とっても便利だけど「あとで困ること」もあるんだ
PFASは、私たちのくらしの中でとても便利に使われている成分です。
雨の日にぬれにくい靴や、汚れにくい服、食べものがくっつきにくいフライパンなど、毎日の生活をちょっと楽にしてくれるものに使われています。
使っているときはとても便利ですから、「これがあると安心」と感じるものがあるでしょう。
でも、そうしたものが増えていくと、使い終わったあとのことも考えなければならなくなります。
いらなくなって捨てられたものに入っていたPFASが、気がつかないうちにどこかへ流れ出てしまうかもしれません。
「便利だったからたくさん使っていたけど、あとからよくないことがわかった」
これからの未来を生きるみなさんにも、知っておいてほしいことが、いま日本で問題になっているのです。
PFASの問題点をわかりやすく教えて
PFAS(ピーファス)は、身近な製品に使われてきた成分ですが、使ったあとも自然の中でそのまま残り続けてしまいます。
「水も油も通さない」「こわれにくい」という性質が、逆に問題になっています。
時間がたっても変わりにくい性質のため、捨てても自然に消えていかず、長い間そのまま地面や水の中にとどまりやすいのです。
さらに、その成分は、雨や川の水にまざって広い場所へと静かに広がっていくこともあります。
目で見ることはできませんが、やがて人の生活や体にもつながってくるおそれがあるとわかってきました。
ここからは、PFASがどのように広がり、なぜ問題になっているのかを、くわしく見ていきましょう。
一度使われると「ずーっと残る」やっかいな性格
PFASの一番の問題は、「こわれにくい」という性格です。
ふつうのものは、時間がたつと風にふかれたり、雨にぬれたりして、少しずつこわれてなくなっていきます。
ところがPFASは、そう簡単にはこわれません。
何年も、何十年も、そのままの形で自然の中に残り続けてしまうのです。
ふつうの食べ物や草や木は、時間がたてば分かれて土にもどりますが、PFASはそれができません。
そのため、専門家の中にはPFASのことを「永遠の化学物質(えいえんのかがくぶっしつ)」と呼ぶ人もいます。
名前のとおり、「いつまでもなくならない」からです。
一度使われると、私たちの手でなくすことがむずかしいという点が、大きな問題となっています。
海・川・土の中にしみこんで、どんどん広がってしまう
こわれずに残ったPFASは、雨や水の流れといっしょに、少しずつ場所を変えて広がっていきます。
最初は工場のそばや町の中だけだったのが、川や海、畑の土などまわりにも広がるようになります。
いったんしみこんだ成分は、水道水や野菜を育てる畑の水にまざってしまうこともあるのです。
さらに、魚や動物の体に入り、それを食べた人の体にも入ってしまうのがわかってきました。
しかも、PFASは目で見えないため、「いつのまにか体に入ってしまっていた」というケースもあります。
こうして広がったPFASは、場所を選ばず地球全体に広がるおそれがあるともいわれています。
一度出てしまうと止めるのがむずかしい、そういうタイプの問題なのです。
「これからどうする?」世界中で話しあっている
PFASの問題があきらかになってきたことで、どうやって使い方を減らすか、どうすれば止められるかを話し合っています。
アメリカやヨーロッパでは、「この成分は使わないようにしよう」というルールを作りはじめた国もあります。
日本でも、水道の安全を守るために、くわしく水を調べるようになってきました。
工場や町の中で、どこからPFASが出てきているのかを調べて、少しずつ減らしていく動きも進んでいます。
今すぐすべてを止めるのはむずかしいけれど、正しく知って、少しずつ行動することで良い方向に進んでいくでしょう。
PFASの問題を考えるのは、大人だけでなく、これからを生きる私たちみんなの課題なのです。
地球や人にとってやさしい選び方ができるように、いっしょに考えていくことが大切です。
PFASの人体への影響をわかりやすく教えて
PFAS(ピーファス)は、見た目ではわかりにくい成分です。
でも、目に見えないからといって、体に入らないわけではありません。
例えば、水や空気、食べ物の中にまぎれて、知らないうちに少しずつ体の中に入ってくることもあるのです。
しかも、いったん体に入るとすぐには出ていかず、長い時間をかけてたまってしまう性質もあります。
すぐに大きな病気になるわけではありませんが、人体への影響(えいきょう)が心配されています。
そして、「どれくらい危ないの?」「自分たちは大丈夫かな?」と心配する声も増えてきました。
体に入るとどんなことが起こるのか、子どもにとってのリスクもあるのか見ていきましょう。
関連ページ:PFASは何に含まれる?人体への影響やフライパンの安全と危険
体にたまると「病気のもと」になるかもしれない
体に入ったPFASは、なかなか出ていきません。
ふつうでしたらいらなくなったものは、おしっこなどから体の外に出されます。
しかし、PFASはとてもこわれにくい成分なので、体の中に残ってしまい長い時間をかけてたまっていくのです。
海外の研究では、PFASが多くたまった人に病気が見つかったという報告もあります。
ある種類のがんや、赤ちゃんが生まれにくくなる病気との関係があるのではないかと考えられています。
もちろん、すぐに病気になるわけではありません。
「あとから体の中で問題が出てくるかもしれない」ことが、今とても心配されています。
だからこそ、できるだけPFASを体に入れないようにするのが、私たちにできる大切なことです。
子どもは体が小さいから、大人より気をつけよう
大人と比べて、子どもの体はまだ成長の途中です。
体の中の水の量も少ないため、同じくらいの量のPFASが入ってしまうと、子どものほうが強い影響を受けることがあります。
例えるなら、大きなコップに一つぶのインクを入れても目立たないけれど、小さなコップに入れたらすぐに色が変わってしまう、のと同じことが体でも起こるのです。
しかも、子どもは外で遊んだリ、地面に手をついたり、おもちゃを口に入れてしまうこともあるので、知らずにPFASにふれる機会も多くなってしまいます。
そのため、身の回りのものを選ぶときは、「安全かな?」という目で見てあげるのが大切です。
パパやママといっしょに、できるだけPFASを使っていないものを選ぶようにしましょう。
まだわからないことも多いけど、早めに知っておくのが大事
PFASについての研究は、今もいろいろな国で続けられています。
でも、「体にどんなふうに悪いのか」「どれくらいの量がこわいのか」といった詳細は、まだはっきりとはわかっていません。
よくわからないからこそ、「あとでこわいことになるかもしれない」と思って、用心するのが大事です。
PFASについても、「今のうちから知っておこう」とする姿勢がとても大切なのです。
私たちにできるのは、まずPFASという名前と、その問題を知ること。
そして、ふだんの生活の中で、「できるだけさける」「体に入れないようにする」のを少しずつ考えていきましょう。
家族でいっしょに調べたり、子どもの疑問にわかりやすく教えてあげることに、きっと意味があります。
PFASは何に入ってるの?子どもに危険はある?
PFAS(ピーファス)は、わたしたちの生活の中に「気づかれにくい形」で使われています。
とても小さな成分で、見た目ではわからないため、どこにあるのかわかりにくい点が問題なのです。
子どもが使うものにも入っていることがあり、知らずに毎日ふれているかもしれません。
いろんなものにまぎれこむようにして、こっそりと入っているのです。
「こわい」「さけたい」と思うかもしれませんが、まずはどこにあるのかを知ることが大切です。
「どんなものに使われているのか?」「どうやって気をつければいいのか?」くわしく見ていきましょう。
いつもの生活の中に「かくれている」ことがあるよ
PFASは、特別な場所だけで使われているわけではありません。
私たちのいつも生活の中に、そっとかくれて使われていることがあります。
例えば、ぬれてもサラッとしているレインコート、汚れがつきにくいテーブルクロス、長持ちするシールや文房具など。
とても便利で使いやすいのですが、水をはじくような性質のあるものには、PFASがかくれていることがあるのです。
どれが安全で、どれに注意すればいいかを見た目で判断するのはむずかしいかもしれません。
ただ、それを知っているだけでも、ちょっとした気づきが生まれます。
「これって便利だけど、どうやって作られているのかな?」と考えることが、自分の体と環境を大切にするきっかけになります。
おもちゃやお弁当グッズにも使われているかも?
子どもが毎日使うものにも、PFASが入っていることがあります。
水にぬれても平気なおもちゃ、こぼしてもサッとふけるお弁当グッズなどは、PFASが使われている場合があるからです。
キャラクターのえがかれたお弁当グッズや、カラフルな水筒など、かわいくて使いやすいものにも、汚れや水をはじく加工がされていることがあります。
カラフルでかわいらしいアイテムは、見た目では成分がわかりません。
でも「長持ちしそう」「ぬれないようになっている」などの特ちょうがあれば、PFASが使われている場合もあるのです。
もちろん、すべてが危ないわけではありません。
「どういう性質のものに使われやすいのか?」を知っておくと、選び方にも気をつけることができます。
パパやママと一緒に「PFASフリー」を選ぼう!
お店やインターネットで商品を見ているときに、「PFASフリー」と書かれていることがあります。
「PFASフリー」とは、「PFASを使っていません」という意味です。
「この商品にはPFASが使われていませんよ」という目印ですから、買いものをするときに見つけたら「これ、体にやさしいの?」とパパやママに聞いてみましょう。
水をはじいたり、汚れにくかったりするものは便利ですが、その中にはPFASが使われているものもあるのです。
家族でいっしょに考えて、話し合いながらものを選ぶことは、ただ買い物をするよりも大切な経験になります。
体にふれるものを安全に近づけられますし、自分にもできることがあると気づけるかもしれません。
水道水はそのまま飲んでもいいの?
テレビやインターネットで「水道水からPFAS(ピーファス)が出てきた」というニュースを見て、「そのまま飲んでもいいの?」と心配になるかもしれません。
学校や家でふつうに使っている水に、体に悪い物が入っていたらどうしよう…。
そう考えると、なんだかこわくなってしまいますよね。
でも、あわてなくても大丈夫です。
日本の水道水は、みなさんに安全な水を届けられるように、毎日しっかりチェックしています。
それでも「心配だな」と感じたときのために、家庭でできる工夫や対策を知っておくのが大切です。
「本当に水道水を飲んでもいいの?」という不安を、正しい情報で解消していきましょう。
関連ページ:有機フッ素化合物とは?歯磨き粉との違いや水道水に影響ある?
すべての水道水が危ないわけじゃないよ
水道水からPFASが見つかったのは、一部の地域だけです。
ほんの一部の場所ですから、日本全国すべての水道水が危ないわけではありません。
たいていの場所では、きちんと水道水を調べていて、決められた基準よりも低い数値になるように安全を守っています。
毎日みんなが使う大切な水だからこそ、とてもていねいに調べられているんです。
また、PFASの量は地域によって違いがあります。
ある場所ではすごく少なく、別の場所ではすこし多く見つかるなど、ばらつきがあるのです。
もし何か異常があれば、すぐに対策が取られたり、みんなに伝える仕組みもあるので安心してください。
「水道水=危ない」と考えるのではなく、「自分の町はどうかな?」と落ちついて知ろうとすることが大切です。
心配なときは「浄水器」や「ペットボトル水」もあり
「水道水が心配だけど、どうすればいいの?」と思ったら、家庭でできる方法もあります。
水道のじゃ口に取り付ける「浄水器(じょうすいき)」という水をきれいにする機械を使うと、水道水をもっと安全にできます。
すべてのPFASを完全になくすわけではありませんが、対応している浄水器を選べば、かなり減らすことができます。
また、スーパーやコンビニで売っているペットボトルの水を使う家庭もあります。
ペットボトルの水にも種類があるので、ラベルを見て「採水地(さいすいち)」や「成分表示」などをチェックしましょう。
どちらも、絶対に安全というわけではありませんが、家族といっしょに、どんな対策ができるのか話し合ってみるのもよいですね。
関連ページ:PFAS@ミネラルウォーターの安全性とペットボトルの水は危険?
「水道局」や「国」が見守ってくれているよ
私たちが使う水を作っている「水道局」や「国」は、みんなの健康を守るために、水の中にどんな成分があるのかしっかりと調べています。
もし、PFASの量が多くなりそうなときは、すぐにお知らせしたり対応をするように決まりがあります。
毎日くり返し水を調べて、「体に悪いものが入っていないかどうか」をしっかりチェックしているので、私たちが気づかないところでも、水の安全は見守られているのです。
国は「これ以上ふくんではいけない量(基準)」を決めていて、それを超えないようにいろいろな工夫もしています。
少しでも安心できるように、たくさんの人が努力してくれているんです。
水道水をそのまま飲んでもいいか心配になったときは、そうした仕組みがあることも思い出してくださいね。
PFASを簡単にわかりやすく教えてまとめ
PFAS(ピーファス)は、水や汚れをはじく便利な成分として、長く私たちの生活に使われてきました。
雨の日の靴や、お弁当箱、フライパンなど、身の回りのいろいろなものに使われていることがあります。
しかし、PFASのこわれにくい性質が原因で、「自然の中に残ってしまう」「体にたまりやすい」という問題が見つかったのです。
子どもは体が小さく、影響を受けやすいこともあるので、大人といっしょに気をつけるのが大切です。
最近では、「PFASフリー」と書かれた製品も増えています。
「PFASを使っていないよ」という表示ですから、買い物をするときに安心して選ぶためのヒントになります。
水道水が心配なときは、浄水器を付けたりペットボトル水を使う簡単な方法もあります。
すべての水道水が危ないわけではなく、ほとんどの場所では安全が守られていますので、落ち着いてできることからはじめてみましょう。